建設アスベスト訴訟 東京第一陣最高裁の判断について【談話】
2020年12月23日
働くもののいのちと健康を守る全国センター
事務局長 前田博史
最高裁判所第一小法廷は12月14日、建材用アスベストで健康被害を受けた建設労働者や遺族が国と建材メーカーに対して損害賠償を求めた「建設アスベスト集団訴訟」の東京第一陣訴訟について国の不服申立(上告受理申立)をすべて退けた。これにより、二審の判決が確定した。
国の責任を認め、労働安全衛生法上の労働者と認められていない「一人親方」についても救済対象とした最高裁判所の判断は画期的である。
また、二審では建材メーカーへの責任は否定されているものの、最高裁ではアスベストの危険性を知りながら製造・販売を続けた建材メーカーの責任も問われている。2021年2月25日には弁論が行われることが決まっており、大工や電気工をはじめとした20の職種について12社の責任が見直される可能性がある。建材メーカーの責任はこれまで5つの高裁判決で認められており、建材メーカーの責任についても公正な司法判断を求めるものである。
石綿関連疾患で労災認定を受けた人は2019年度までに1万7千人を超えているが、労災の認定などによる保障給付は不十分と言わざるを得ない。建設アスベストをめぐっては、2020年10月時点で、被災者のうちすでに約7割が死亡し、生存している被災者らも日々病と闘いながら生活している。また、毎年500人を超える規模で新たな患者が出ていることを鑑みれば、一刻も早い救済制度の創設が求められていると言える。国と建材メーカーは、原告らが求めている救済基金制度の創設をはじめとした被災者救済の措置を早期に行い、すべてのアスベスト被災者らの救済を行うべきである。
いの健全国センターは、原告らの「命あるうちに救済を」と求める声に寄り添い、引き続き連帯していくことを表明すると同時に、最高裁判所が人権の最後の砦として、原告らの権利救済の訴えに応え、自らの職責を果たすこと、国と建材メーカーは、司法判断を真摯に受け止め、係争中となっている事件も含め早期にすべてのアスベスト被災者と遺族らを救済する措置を取ることをあらためて求めるものである。
以上