「脳・心臓疾患の労災認定基準専門検討会報告書」に対しての
意見と要望(パブコメ)
2021年8月19日
働くもののいのちと健康を守る全国センター
脳・心臓疾患及び精神疾患の労災認定率は昨年過低となった。長期間における時間外労働時間数や「睡眠時間」を基本に時間外労働の上限を規定する考え方の変更など、根本的な改訂を求める。
1.【基本的な考え方】
これまでの認定基準における労働時間偏重主義を改め、「労働時間」「交代制勤務・深夜勤務」「精神的緊張」の3つを柱にして、労災認定を行うこと。
2.【労働時間関係】
(1)脳・心臓疾患の労災認定における時間外労働時間数を「65時間超」とすること。
(2)指揮命令下にある移動時間、直行・直帰の出張、遠隔地への異動による長距離の通勤時間については、労働時間と同様の扱いとすること。
(3)労働実態に即した正確な把握に努めること(持ち帰り残業、朝礼、早出なども)
3.【交代制勤務・深夜勤務】
(1)「交代制勤務・深夜勤務」を伴う業務は「付加要因」ではなく、「時間外労働」と同様の過重な負荷として取り扱うこと。
(2)勤務間インターバルに関して
「勤務間インターバル」が十分とれていない勤務は、勤務の不規則性のみ重視するのではなく、負荷が増大すると評価すること。職種、時間帯などを充分に、考慮すること。
4.【精神的緊張を伴う業務】
(1)精神的緊張を伴う業務は「付加要因」ではなく、「時間外労働」と同様の過重な負荷として取り扱うこと。
5.【被災労働者の多様性】
(1)過重性の評価にあたっては、被災労働者の多様な属性を充分に考慮した認定を行うこと。少
なくとも障害者枠雇用や障害者手帳を持つ人などは、一般的な「同僚」を基準とするのではなく、
障害をもつ被災本人にとっての過重性を判断すること。また、障害者雇用枠や障害者手帳をもっ
ていない労働者でも障害をもち、業務内容について軽減措置を受
けている労働者については同様に十分配慮すること
6.【評価期間】
(1)負荷の評価期間について。「長期間の過重業務」の評価期間について発症前1年とするこ
と。少なくとも、発症前6か月より以前に、発症を示唆する出来事や時間外労働がある場合、せめ
て1年間は遡って調査すること。
7.「WHO/ILOの長時間労働と死亡のリスクの報告」と同様に「週55時間以上の労働と脳・心臓
疾患について」の調査研究を行い、認定基準改定に活かすこと。
以上。
*「声明・見解・要請」コーナーにはPDFで掲載 こちら